2018年05月20日
今季初石鯛ボウズ
ヨシは悲しんだ。
彼は彼の棲家であるボウズから外に出てみようとしたのであるが
石鯛は釣れなかったのである。
「いよいよ釣れないというならば、俺にも相当な考えがあるんだ。」
しかし彼に何一つとしてうまい考えがある道理はなかったのである。
彼はどうしてもボウズから抜け出さなければならないと思った。
そのために頻繁に誘いをかけたり、ポイントを変えたりあらゆる手段を尽くした。
しかし釣れるのはチヌばかりで石鯛は釣れなかったのである。
下げ潮に入ってヨシは再びこころみた。 それは再び徒労に終わった。
「ああ神様!あなたはなさけないことをなさいます。
たった1匹の石鯛すらも釣らせて下さらないのでしょうか?
私は今にも気が狂いそうです」
諸君は、このヨシを嘲笑してはいけない。
すでに彼は飽きるほどのボウズを重ねて来て
もはや我慢がならいないでいるのを諒解してやらなければならない。
そこへマサさんから連絡が来たのである。 石鯛が釣れたと。
(山椒魚の心をかき乱す小魚の様です)
「ああ、寒いほど独りぼっちだ!」
悲歎にくれているものを、いつもでもその状態に置いておくのは、
よしわるしである。
ヨシはよくない性質を帯びて来たらしかった。
ヨシはじゃじおさんを自分と同じ状態に置いておくように呪いをかけた。
「一生ボウズにしてやるΨ(`∀´#) 」
じゃじおさんには石鯛のアタリはあり、針掛かりはするものの
ヨシの呪いによりことごとくスッポ抜けさせた。
更に時間だけが過ぎて行った。
ヨシよりも先にじゃじおが深い歎息をもらしてしまった。
じゃじお 「ああああ」
ヨシ 「お前は、さっき大きな息をしたろう?」
じゃじお 「それがどうした?」
ヨシ 「そんな返辞をするな。もう石鯛を釣ってもよろしい」
じゃじお 「もう一生涯、石鯛が釣れる気がしない」
ヨシ 「それでは、もう駄目なようか」
じゃじお 「もう駄目なようだ」
今回は井伏鱒二『山椒魚』の盗作記事です。
僕には山椒魚の気持ちが痛いほど分かります。
皆様にもぜひ『山椒魚』を一読することをお薦めします。
しかし後年の『山椒魚』は作者の意向によって
山椒魚と蛙の和解の場面等はばっさりカットされているので注意してください。
僕はこの最後の場面が大好きだったのに、なぜ作者はカットされたのでしょう?
石鯛は釣れませんでしたがチヌは釣れました。
彼は彼の棲家であるボウズから外に出てみようとしたのであるが
石鯛は釣れなかったのである。
「いよいよ釣れないというならば、俺にも相当な考えがあるんだ。」
しかし彼に何一つとしてうまい考えがある道理はなかったのである。
彼はどうしてもボウズから抜け出さなければならないと思った。
そのために頻繁に誘いをかけたり、ポイントを変えたりあらゆる手段を尽くした。
しかし釣れるのはチヌばかりで石鯛は釣れなかったのである。
下げ潮に入ってヨシは再びこころみた。 それは再び徒労に終わった。
「ああ神様!あなたはなさけないことをなさいます。
たった1匹の石鯛すらも釣らせて下さらないのでしょうか?
私は今にも気が狂いそうです」
諸君は、このヨシを嘲笑してはいけない。
すでに彼は飽きるほどのボウズを重ねて来て
もはや我慢がならいないでいるのを諒解してやらなければならない。
そこへマサさんから連絡が来たのである。 石鯛が釣れたと。
(山椒魚の心をかき乱す小魚の様です)
「ああ、寒いほど独りぼっちだ!」
悲歎にくれているものを、いつもでもその状態に置いておくのは、
よしわるしである。
ヨシはよくない性質を帯びて来たらしかった。
ヨシはじゃじおさんを自分と同じ状態に置いておくように呪いをかけた。
「一生ボウズにしてやるΨ(`∀´#) 」
じゃじおさんには石鯛のアタリはあり、針掛かりはするものの
ヨシの呪いによりことごとくスッポ抜けさせた。
更に時間だけが過ぎて行った。
ヨシよりも先にじゃじおが深い歎息をもらしてしまった。
じゃじお 「ああああ」
ヨシ 「お前は、さっき大きな息をしたろう?」
じゃじお 「それがどうした?」
ヨシ 「そんな返辞をするな。もう石鯛を釣ってもよろしい」
じゃじお 「もう一生涯、石鯛が釣れる気がしない」
ヨシ 「それでは、もう駄目なようか」
じゃじお 「もう駄目なようだ」
今回は井伏鱒二『山椒魚』の盗作記事です。
僕には山椒魚の気持ちが痛いほど分かります。
皆様にもぜひ『山椒魚』を一読することをお薦めします。
しかし後年の『山椒魚』は作者の意向によって
山椒魚と蛙の和解の場面等はばっさりカットされているので注意してください。
僕はこの最後の場面が大好きだったのに、なぜ作者はカットされたのでしょう?
石鯛は釣れませんでしたがチヌは釣れました。